新規2RAS作動薬、COVID-19治療有用性を示せず:VUMC
Renin-Angiotensin System Modulation With Synthetic Angiotensin (1-7) and Angiotensin II Type 1 Receptor-Biased Ligand in Adults With COVID-19: Two Randomized Clinical Trials

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
April 2023
329
開始ページ
1170

背景

COVID-19重症化機構の興味深い仮説は、ACE2へのSARS-CoV-2結合によるRASの病理的擾乱(炎症・血管収縮・血栓症)である。
アメリカVanderbilt UniversityのSelfらは、重度COVID-19患者に対する新規RAS作動薬、合成アンジオテンシン(1-7)(TXA-127)・アンギオテンシン II タイプ 1 受容体バイアス リガンド(TRV-027)の効果・安全性 を検証するRCTを行った(対照:プラセボ, n=各343・290)。一次アウトカムは、酸素投与不要日数である。

結論

両試験とも無益性のため中途停止された。両薬に一次アウトカム効果を認めなかった。有害事象にも差はなかった。

評価

この仮説は既存薬の転用によって検証されてきたが、結果は否定的であった。両薬は新規RAS作動薬で、作用機構が異なるため試みられたものだが、やはり失敗した。より従来的な高血圧等への適応で、有効性・有用性が試みられることになる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)