降圧療法個人最適化の効果は4.4mmHg:PHYSIC
Heterogeneity in Blood Pressure Response to 4 Antihypertensive Drugs: A Randomized Clinical Trial
背景
高血圧における薬物療法パーソナル化の可能性とそのベネフィットは。
スウェーデンUppsala UniversityのSundstromら(PHYSIC)は、グレード1高血圧の男女270名を対象として、この問題を検討するクロスオーバーRCTを行った。参加者を、ガイドライン推奨4クラス薬(ACEi・ARB・カルシウムチャネル遮断薬・利尿薬)に 無作為に割り付けた後、無作為選択2薬による治療を繰り返した(患者ごとに計6サイクル)。一次アウトカムは、各サイクル終了時に測定した日中の外来収縮期血圧である。
結論
治療への血圧応答の個人間差を確認した(P<0.001)。特にリシノプリルとヒドロクロロチアジド、リシノプリルとアムロジピン、カンデサルタンとヒドロクロロチアジド、カンデサルタンとアムロジピンの間で応答は大幅に異なった。このような個人間差はリシノプリルとカンデサルタン、およびヒドロクロロチアジドとアムロジピンとの間ではみられなかった。平均的には、個人化アプローチは、ガイドラインアプローチより収縮期血圧を4.4 mmHg 低下させた。
評価
現在のガイドラインも降圧薬選択の個別化を掲げているが、手順は明らかでない。PHYSICはパーソナル化による効果規模を初めて示した興味深い研究だが、結論の重さに比し規模は大きくなく、期間も短い。仮説生成研究とみなされるべきである。また、降圧治療の個別化にPRAは有用でないとされている現在、精密医療のためには新しい指標が必要となる。