AKI患者への造影剤投与はAKIを長引かせない
Renal outcomes following intravenous contrast administration in patients with acute kidney injury: a multi-site retrospective propensity-adjusted analysis
背景
造影剤投与と腎障害の関連は長年検証が続いているテーマだが、近年の研究は造影剤投与が急性腎障害(AKI)のリスクではないことを示している。では、AKI患者での造影剤の使用がAKIを長期化させる可能性はあるのか?
アメリカJohns Hopkins School of MedicineのEhmannらは、2017年から2021年に3施設の救急外来に到着し、到着時点でKDIGO基準に該当する成人AKI患者を対象とする後向観察コホート解析を実施し、造影剤投与とAKI持続との関連を評価した(n=14,449)。
結論
12.8%がICUに入室し、造影剤は18.4%で使用された。退院時にAKIが解消したのは69.1%であった。造影剤静注と退院時にも持続するAKIとの関連は、未調整の多変量ロジスティック回帰(オッズ比 1)、傾向スコア重み付け(0.93)、エントロピー・バランス法(0.94)のいずれでも認められなかった。ICU入室患者のサブグループでも同様であった。180日以内の透析開始は、患者全体の5.4%で認められたが、造影剤投与はこのリスクと関連しなかった。
評価
近年のエビデンスは、造影剤腎症の存在を疑問に付しているが、AKI患者を対象としたこの研究でも、造影剤による悪影響は認められなかった。造影剤使用が必要な患者で、これを躊躇する必要はない。