1〜2 cmの虫垂NETは虫垂切除のみでよい
Hemicolectomy versus appendectomy for patients with appendiceal neuroendocrine tumours 1-2 cm in size: a retrospective, Europe-wide, pooled cohort study
背景
虫垂の神経内分泌腫瘍(NET)の大きさが2 cmを超える場合の標準治療は結腸右半切除術だが、腫瘍サイズが1〜2 cmの場合の最適な治療は、疾患の希少性もあって確定していない。
スイスUniversity of BernのNestiらは、ヨーロッパ15ヵ国40施設から、2000年から2010年に原発腫瘍の完全切除を行った1〜2 cmの虫垂NET患者(n=278)をプールし、虫垂切除のみまたは虫垂切除に加えて、腫瘍学的結腸右半切除ないし回盲部切除を行った場合のアウトカムを比較することで、1〜2 cmの虫垂NETの悪性度を評価した。
結論
患者の40%が男性、平均年齢は36.0歳であった。59%が虫垂切除、41%(115名)が結腸右半切除を受け、結腸右半切除を受けた患者112名のうち、22名(20%)に領域リンパ節の転移が認められた。フォローアップ期間13.0年(中央値)での全生存期間は、虫垂切除患者と結腸右半切除患者で同等であった(調整ハザード比 0.88)。
評価
この大規模シリーズ研究では、1〜2 cmの虫垂NETに対する右半切除は生存率に影響を与えないように思われた。ガイドラインの根拠をもたらし、過剰治療の回避に役立つ知見である。

