頭部CT陰性の軽症頭部外傷高齢者で再スキャンは不要か
Findings on Repeat Posttraumatic Brain Computed Tomography Scans in Older Patients With Minimal Head Trauma and the Impact of Existing Antithrombotic Use
背景
受傷前に抗血栓・抗凝固療法を受けていた軽症頭部外傷患者で、初回頭部CTが陰性であった場合、遅発性出血を発見するための再撮影を行う必要はあるのか。
アメリカDel Sol Medical CenterのFlahertyらは、2017〜2019年にレベルI/II外傷センターを受診した、頭部外傷疑いでGlasgow Coma Scaleが14-15、初回頭部CT陰性で、他の重度外傷のない55歳以上の成人患者において、遅発性頭蓋内出血・手術の発生率、死亡率を評価した(n=2,950)。
結論
280名(9.5%)で頭部CT再検が行われた。遅発性頭蓋内出血率は、受傷前に抗血栓薬を服用していなかった患者で11.9%(15/126)、服用していた患者で3.9%(6/154)であった。再撮影が行われなかった患者で臨床的に重要な遅発性出血が生じなかったと仮定すると、遅発性頭蓋内出血率は非服用患者で0.7%(15/2001)、服用患者で0.6%(6/949)であった。遅発性頭蓋内出血に対する手術は行われなかった。全原因死亡率は0.3%(9名)、遅発性頭蓋内出血による死亡率は0.03%(1名)であったが、この1名は家族が介入を拒否した抗血栓薬服用患者であった。
評価
近年のエビデンスは、遅発性出血が稀であり、再撮影の必要がないことを示唆している(http://doi.org/10.1001/jamasurg.2017.6159, https://doi.org/10.1016/j.surg.2021.02.024)。この研究でも、抗血栓療法中の高齢mTBI患者での遅発性出血は稀であった。ルーチン的なCT再検は不要と考えられる。


