アメリカの「国技」アメフトNFL正選手の死亡リスクは
Association Between Playing American Football in the National Football League and Long-term Mortality
背景
アメリカでの人気スポーツ、アメリカンフットボールは高負荷で、選手の生涯健康が懸念されるが、選手が一般人より長寿である、というデータもある。University of PennsylvaniaのVenkataramaniらは、1982〜1992年のNFLデビュー選手を対象とするコホート研究を行った(n=3,812[加入時平均年齢23.4歳])。
結論
追跡終了までに、NFL正選手の4.9%、控え選手の4.2%が死亡した。NFL正選手の調整死亡ハザード比は、控え選手に対し1.38であったが、統計的には有意でなかった。NFL正選手の主な死因は、心筋代謝疾患(35.4%)・交通傷害13.9%、意図しない傷害(10.4%)、新生物10.4%であり、 控え選手でも首位は心代謝疾患(51.4%)であった。
評価
「国技」であるため注目されるコホートである。一般人より寿命が長いとされる報告の原因が単に身体の強健さによるものである可能性を考慮し、死亡リスクを正選手と控え選手の比較で再検討した。現時点で正選手の死亡リスクの高さが示唆されたものの有意ではなく、高齢までの追跡継続が必要となった。なお、近年問題となっているchronic traumatic encephalopathy(CTE)に関しては報告されていない。