Hematopoietic somatic mosaicism(HSM)は術後心房細動のリスクを3.5倍増する
Hematopoietic Somatic Mosaicism Is Associated With an Increased Risk of Postoperative Atrial Fibrillation
背景
造血性体細胞モザイク(Hematopoietic somatic mosaicism:HSM)の心血管リスクが注目されている。
フランスUniversite de LilleのMontaigneらは、心臓オンポンプAVR術前患者104名を対象として、その有病率・特性・術後アウトカムを調査した。
結論
患者コホートにおけるHSM有病率は、従来のHSMパネル(97遺伝子)で29%、HemePACTパネル全体で60%であった。4つのHSM定義中3つが、術後(PO)AFの高リスクと有意に関連した。最緩定義のHSMキャリアはPOAFのORが3.5で、AVR後の炎症反応が亢進していた。HSMキャリアの術前心筋では、活性化CD64+CD14+CD16-単球と炎症性単球由来マクロファージが高レベルであった。
評価
CHIP(clonal hematopoiesis of indeterminate potential)がPOAFリスクを増す、という初めての報告である。心臓手術前検査への導入という臨床的示唆とともに、POAFの免疫原性という基礎科学的示唆を含む。