一日の中で、運動の健康効果が最も高いタイミングは?
Associations of timing of physical activity with all-cause and cause-specific mortality in a prospective cohort study
背景
運動(身体活動)が癌や心血管疾患による死亡のリスク低下と関連することは、多くのエビデンスによってほぼ確実とみられているが、一日のうち、いつ運動すればベネフィットが最大化されのか。
中国Guangdong Academy of Medical SciencesのFengらは、UK Biobank研究に参加し、7日間の加速度センサ・データと死亡アウトカムについてのデータを有する92,139名のコホートにおいて、中高強度(moderate-to-vigorous)運動のタイミングと全原因・心血管疾患・がん死亡リスクとの関連を検討した。
結論
中央値7年超のフォローアップが行われ(計638,825人年)、3.35%の参加者が死亡、とくに1.17%が心血管、2.03%が癌により死亡した。中高強度運動はいずれの時間帯に行われていても全原因死亡・心血管疾患死亡・がん死亡のリスク低下と関連していたが、中高強度運動の半分以上を朝(05:00〜11:00)に行っていたグループと比較して、午後(11:00〜17:00)に行っていたグループおよび様々な時間に行っていたグループでは、全原因死亡および心血管疾患脂肪のリスクが低かった。これらの保護的効果は、高齢者・男性・低運動量参加者・心血管既往患者において顕著であった。
評価
加速度計を用いた運動モニタリングを行ったコホート研究のデータから、全原因死亡・心血管死亡の減少と、より強く関連する運動が最も有効なタイミングは午後であると考えられた。がんについては、心血管疾患と比べ運動による死亡減少効果が小さく、最適なタイミングは明らかにならなかった。