中等度ASでもHFrEFの予後は悪化
Impact of Moderate Aortic Stenosis in Patients With Heart Failure With Reduced Ejection Fraction
背景
HFrEF患者における中等度大動脈弁狭窄症(AS)は、どの程度の悪性アウトカムリスクか。
アメリカMassachusetts General HospitalのKhanらは、HFrEFの非AS患者とAS患者を比較する後向分析を行った(n=9,133, HFrHFの定義はLVEF<50%)。一次アウトカムは、全死亡と心不全入院の複合である。
結論
中央値3.1年の追跡で、中等度ASの一次アウトカム高リスクを認めた(62.7% vs. 45.9%, HR 1.24)。重度ASと中等度AS間にリスク有意差はなかったが、重度AS患者はHF入院の発生率が低く、また追跡期間中にAVRを受ける可能性が高く、AVR施行は生存率改善と関連していた(HR 0.60)。
評価
AVRの適応を中等度ASのHFrEF患者にまで広げるべきか、という重要臨床問題に関する後向基礎データであり、「やはり良くない」を確認した。この集団の患者に対するAVRの効果・安全性を検証する臨床試験は、すでに進行中である(TAVR UNLOAD [NCT02661451]・PROGRESS [NCT04889872]・ Evolut EXPAND TAVR II Pivotal Trial [NCT05149755])。