COVID-19での治療用量ヘパリン、有効な患者は?
Heterogeneous Treatment Effects of Therapeutic-Dose Heparin in Patients Hospitalized for COVID-19
背景
COVID-19に対して、予防量を超えた治療用量のヘパリン投与による抗凝固療法が有効なのではないか。この仮説の下に複数のRCTが実施されたが、結果は矛盾している。
カナダUniversity of TorontoのGoligherらは、COVID-19入院患者を治療用量ヘパリン、または通常治療へと割り付けたマルチプラットホームRCT(ATTACC試験)での探索的解析を行い、治療用量ヘパリンによる治療効果の異質性を評価した。
結論
試験全体では、治療用量ヘパリンは臓器サポートなしの生存日数と関連していなかった。従来型のサブグループ解析では、治療用量ヘパリンの効果はベースラインでの臓器サポートの有無、男女、BMIが30未満か30超かによって異なっていた(オッズ比に差がある事後確率90%)。多変量アウトカム予測モデルでは、アウトカム不良のリスクが低い患者(最低十分位)では、ヘパリンから利益を得る可能性が高く(オッズ比が1を超える事後確率92%)、逆にリスクが高い患者(最高十分位)では、害を受ける可能性が高かった(オッズ比が1を下回る事後確率87%)。多変量因果フォレストモデルでは、ヘパリンによって害を受ける可能性が高い患者のサブセットは、BMIが高く、ベースラインで臓器サポートを受けている傾向にあった。
評価
治療効果の異質性に焦点をあてた3種のアプローチにより、重症度が低い低BMI患者では、治療用量ヘパリンの有効性が期待できることを明らかにした。