最近DOACを服用した脳梗塞患者での血栓溶解療法は安全
Intravenous Thrombolysis in Patients With Ischemic Stroke and Recent Ingestion of Direct Oral Anticoagulants
背景
直接経口抗凝固薬(DOAC)の使用は拡大しており、比例してDOACs服用中の脳梗塞に対する静注血栓溶解療法(IVT)の適応も大きな問題となっているが、裏付けとなるデータが現れ始めている。
スイスUniversity of BernのMeinelらは、ヨーロッパ・アジア・オーストラリア・ニュージーランドの64施設でIVTを受けた脳梗塞患者を対象とした国際共同後向コホート研究を実施し、発症48時間以内のDOACs服用が症候性頭蓋内出血(sICH)に与える影響を調査した(n=33,207)。
結論
DOAC服用歴のある患者832名、ない患者32,375名が比較された。DOAC服用患者のうち、30.3%は拮抗治療(イダルシズマブ)を受け、27.0%はDOACレベルの測定を受けた。sICHの未調整発症率はDOAC服用患者で2.5%、非服用患者で4.1%であった。最近のDOAC服用歴はIVT後のsICHオッズ低下と関連した(調整オッズ比 0.57)。
評価
国際的ガイドラインではIVT適応外とされる患者であるが、この後向調査ではIVTの有害性の証拠は見出されなかった。アメリカ(https://doi.org/10.1001/jama.2022.0948)、日本(https://doi.org/10.1161/JAHA.122.025809)からも同様のデータがあり、禁忌と見做すべきではないと考えられるが、究極的にはランダム化比較試験による検証が望ましい。