デスモイド腫瘍にγセクレターゼ阻害薬nirogacestat登場
Nirogacestat, a γ-Secretase Inhibitor for Desmoid Tumors
背景
デスモイド腫瘍は、線維芽細胞増殖を特徴とする稀少腫瘍で、軟部組織で発生し、局所浸潤性で高再発・低遠隔転移性だが、確立された薬物治療法は少ない。
アメリカMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのGounderらは、進行デスモイド腫瘍成人患者を、一日2回の経口γ-セクレターゼ阻害薬nirogacestat(150 mg)、またはプラセボ服用へと割り付ける第3相多国籍ランダム化比較試験を実施した(n=142)。
結論
無増悪生存のハザード比はnirogacestatで0.29と、有意なベネフィットが示された。2年無イベント率はnirogacestat群で76%、プラセボ群で44%であった。客観的奏効率はそれぞれ41%、8%、完全奏効率は7%、0%であり、奏効が現れるまでの期間(中央値)は5.6ヵ月、11.1ヵ月であった。疼痛・症状負荷・機能・健康関連QOLについても有意な群間差を認めた。Nirogacestat群では下痢・悪心・疲労・低リン酸血症・斑状丘疹状皮疹が好発したが、ほとんどがグレード1・2であった。Nirogacestat群の妊娠可能年齢にある女性の75%(27/36名)で卵巣機能障害が発生したが、このうち74%(20名)は解消した。
評価
デスモイド腫瘍に進行・縮小の予測が困難であることもあり、現在はアクティブサーベイランスが主流となっているが、ファースト・イン・クラスで有効な薬物治療が現れた。