小児ICU患者でも生食よりバランス輸液がよいのか:SPLYT-P試験
Effect of Saline vs Gluconate/Acetate-Buffered Solution vs Lactate-Buffered Solution on Serum Chloride Among Children in the Pediatric Intensive Care Unit: The SPLYT-P Randomized Clinical Trial
背景
成人重症患者に対する輸液では、生理食塩液よりもbalanced solutionが優る可能性が示唆されているが、小児患者における優劣についてはデータが不足している。
オーストラリアUniversity of QueenslandのRamanらは、36床の小児ICUに入室し、静脈内輸液が必要と判断された16歳未満の患者を、グルコン酸/酢酸リンゲル液・乳酸リンゲル液・生理食塩水へと1:1:1で割り付け、血中クロール濃度が上昇するかを検証する単施設ランダム化比較試験を実施した(n=516)。
結論
5 mEq/L以上のクロール濃度上昇がみられたのはグルコン酸/酢酸リンゲル液群で25.2%(生理食塩水群と比較したオッズ比 0.50)、乳酸リンゲル液群で23.9%(オッズ比 0.47)、生理食塩水群で40.0%であった。急性腎障害の新規発症は各群6.1%、3.7%、3.2%で認められた。
評価
バランス液による輸液では、生食と比して血中クロール濃度の上昇が少なかった。AKIや死亡率などの患者中心アウトカムについてはパワー不足だが、血中クロール濃度が死亡率の上昇につながるという後向データも存在しており、バランス液が何らかのベネフィットをもたらす可能性は十分にある。