最大データで心腎同時移植のリスク・ベネフィットを提示
Outcomes of Simultaneous Heart and Kidney Transplantation
背景
腎機能障害を併発した末期心不全患者に対する心腎同時移植が増えている。
アメリカIcahn School of Medicine at Mount SinaiのItagakiらは、United Network for Organ Sharingレジストリ2005〜2018データに基づき、米で心腎同時移植(n=1,124)・単独心移植(n=12,415)を受けた腎機能不全レシピエントの長期死亡率を比較した。
結論
心腎同時移植レシピエントの長期死亡率が単独心移植レシピエントより低かったのは、レシピエントが透析を受けている場合 (26.7% vs. 38.6% at 5 years, HR 0.72) 、またはGFR<30 ml/min/1.73m2 (19.3% vs. 32.4%, HR 0.62) および GFR 30〜45 mL/min/1.73 m2 (16.2% vs. 24.3%, HR 0.68) の場合で、GFR 45〜60 mL/min/1.73 m2ではこの限りではなかった。相互作用分析では、心腎同時移植の死亡率改善効果は、GFR 40 mL/min/1.73 m2まで継続した。腎グラフト喪失発生率は、対側腎レシピエントより心腎レシピエントの方が高かった(HR 1.7) 。
評価
現在まで最大のデータで、心腎同時移植が有益となる患者集団を特定するとともに、大きなリスク(グラフト喪失リスク1.7倍)も指摘した。待ちリストを含め、複雑な問題である。


