EGFR-TKIでCD4+ T細胞を抑制して動脈硬化症を治療する:概念を実証
Selective EGF-Receptor Inhibition in CD4+ T Cells Induces Anergy and Limits Atherosclerosis
背景
アテローム性動脈硬化症(AtS)がT細胞の介在する血管の慢性免疫炎症性疾患であることが明らかになってきている。フランスParis Cardiovascular Research CenterのAit-Oufellaらは、マウスレベル実験により、T細胞へのEGFR‐TKI(erlotinib)作用によりAtSの発生・進行が阻害できる、という仮説を検証した。
結論
マウスCD4+ T細胞はEGFRを発現し、erlotinibはin vitroでT細胞増殖およびTh1/Th2サイトカイン産生を阻害した。In vivo(Ldlr-/-マウス)ではT細胞アネルギーを誘導してT細胞浸潤を低減させ、AtSの発生・進行を抑制した。CD4+ T細胞におけるEGFRの選択的欠失は、in vitroおよびin vivoでT細胞の増殖・活性化を抑制し、IFγ・IL4・IL2の産生を低減した。
評価
抗がん薬EGFR‐TKIでアテローム性動脈硬化症を治療する、という概念を実証した研究である。著者らは、ヒトレベルではEGFRの発現と、その阻害によるT細胞増殖の抑制を確認している、という。基礎的課題は多いが、臨床試験は可能であろう。