経口パクリタキセルとP糖タンパク質阻害剤の併用で静注パクリタキセルを上回る
Open-Label, Randomized, Multicenter, Phase III Study Comparing Oral Paclitaxel Plus Encequidar Versus Intravenous Paclitaxel in Patients With Metastatic Breast Cancer
背景
パクリタキセルの経口投与は、利便性に加えて、可溶化剤を含まないことから副作用の軽減も期待できる魅力的な選択肢であるが、腸管内腔細胞に発現するP糖タンパク質によって排出されるため、生体利用率が低いという問題があった。
アメリカUniversity of California San FranciscoのRugoらは、最後のタキサン系薬剤投与から1年以上経過した切除不能乳がん女性を、経口パクリタキセルとP糖タンパク質ポンプ阻害剤encequidar併用(毎週3連続日)、または静注パクリタキセル(3週に1回)へと2:1で割り付ける第3相ランダム化比較試験を実施した(n=422)。
結論
放射線画像での奏効率は、経口パクリタキセル群で36%、静注パクリタキセル群で23%であった。無増悪生存期間(中央値)は経口パクリタキセル群8.4ヵ月、静注パクリタキセル群7.4ヵ月であり(ハザード比 0.768)、全生存期間(中央値)は各22.7ヵ月、16.5ヵ月であった(ハザード比 0.794)。グレード3-4の有害反応は両群同等であったが、経口群では神経障害(2% vs. 15%)、脱毛(49% vs. 62%)は少なく、逆に悪心/嘔吐、下痢、好中球減少性合併症は多く、肝酵素値上昇患者の割合も高かった。
評価
生体利用率を高める新規薬剤と組み合わせた経口パクリタキセルは、奏効率が高く、神経毒性・脱毛を抑制した。好中球減少症は増加しており、患者選択や減量が必要とみられるが、静注パクリタキセルに代わる選択肢として注目である。同じ組み合わせで、術前補助使用についても検証が進んでいる(NCT01042379)。