右心梗塞での硝酸薬は禁忌ではないかもしれない:系統的レビュー・メタ解析
Adverse events from nitrate administration during right ventricular myocardial infarction: a systematic review and meta-analysis
背景
右室梗塞が存在する場合の硝酸薬投与は、血圧の低下からショックに至る危険があるため禁忌とされてきたが、ガイドラインの根拠となったコホート研究はn=40という、小規模なものであった。
オーストラリアUniversity of MelbourneのWilkinson-Stokesらは、右室梗塞時の硝酸塩投与による有害事象を再評価するシステマティックレビューとメタアナリシスを実施した。
結論
5件の研究が適格となった(n=1,113)。右室梗塞グループで心停止・死亡事象は発生しなかった。舌下ニトログリセリン400 μgについて検証した2件の研究(n= [95% CI 0.81 to 2.12, p=0.27])についてメタアナリシスが可能であり、相対リスク1.31で右室梗塞グループが劣ったものの、統計的に有意ではなかった。絶対効果は治療100回あたり3件の有害事象増加であった。
評価
右室梗塞時のニトログリセリンは、有害事象の増加につながったものの、統計的に有意ではなく、一過性で管理が容易なものに限られていた。硝酸薬を禁忌とする根拠は薄まったといえる。