ダパグリフロジンの抗心不全効果をさらにDELIVER
Effect of Dapagliflozin on Health Status in Patients With Preserved or Mildly Reduced Ejection Fraction
背景
ダパグリフロジンの駆出率軽度低下心不全(HFmrEF)・駆出率保持心不全(HFpEF)患者への総合的有益性が示唆されている。
アメリカUniversity of Missouri-Kansas CityのKosiborodら(DELIVER)は、症候性HFmrEF/HFpEF患者5,795名を対象として、この仮説を検証するRCTを行った(対照:プラセボ)。エンドポイントは、無作為化時・1・4・8ヵ月におけるKCCQ健康関連QOLスコア(KCCQ-TSS・-OSS・-PLS・-CSS)である。
結論
ダパグリフロジンは8ヵ月でのKCCQ-TSS・PLS・ -CSS・ -OSSを改善し(プラセボとの差 2.4・1.9・ 2.3・2.1)、投与患者はEFに関わらず、KCCQ-TSSが改善した。有益性は、ベースライン症状が悪いほど大きかった(KCCQ-TSS 最低3分位 vs. 最高3分位:HR 0.70)。また、実薬群投与患者は症状悪化が少なく、8ヵ月での全KCCQ領域で改善がみられた。
評価
同薬を「心不全薬」として確立したランドマークDELIVER研究(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36027570/)の、KCCQスコア分析による補完である。客観指標に留まらず、主観QOL指標でも有益性を示した。

