主幹動脈閉塞への血管内治療、DEFUSE-3・DAWN基準外でも有効か
Mechanical Thrombectomy Versus Best Medical Treatment in the Late Time Window in Non-DEFUSE-Non-DAWN Patients: A Multicenter Cohort Study
背景
近年、DEFUSE-3試験、DAWN試験といったランダム化比較試験の成功は、これまで発症後6時間以内とされてきた前方循環系主幹動脈閉塞への血管内治療ウィンドウを最大24時間まで拡大したが、これらの試験の包括基準外の患者に対する有効性はどうか。
スイスUniversity Hospital BaselのDittrichらは、2014〜2021年に同国5施設の脳卒中センターに入院した、最終健常確認から6〜24時間の前方循環系主幹動脈閉塞成人患者を対象とするコホート研究を実施し、DEFUSE-3基準、DAWN基準を満たさなかった患者における血管内治療の有効性を、内科的治療のみの患者と比較評価した。
結論
278名中190名(68%)は両試験の包括基準を満たしていなかった。このうち102名(54%)が血管内治療を受けた。逆確率治療重み付け法(IPTW)解析では、血管内治療群で良好アウトカム確率が高く(modified Rankin Scaleシフトの調整共通オッズ比 1.46)、90日死亡率は低かった(調整オッズ比 0.59)。症候性頭蓋内出血は血管内治療群で5%、内科的治療群で2%であり、有意差を認めなかった。
評価
DEFUSE-3・DAWNは、いずれもRAPIDを用いた選択基準を採用しているが、この基準を満たす患者は限られ、この研究では2/3が基準外であった。基準を満たさなかったこれらの患者でも、血管内治療の有効性が認められたことで、よりpermissiveな基準での検証も必要となった。