ST上昇のない心停止後患者での血行動態不安定性の意義は?
Acute Coronary Occlusion in Patients With Non-ST-Segment Elevation Out-of-Hospital Cardiac Arrest
背景
ST上昇を伴わない院外心停止(OHCA)後昏睡患者の緊急CAGのベネフィットについては議論があり、血行動態の不安定性はCAG実施を判断する材料の一つと考えられている。
スイスBern University HospitalのSpiritoらは、同施設で2011〜2019年にCAGを受けたST上昇を伴わないOHCA後昏睡患者において、血行動態の安定/不安定性が急性冠動脈閉塞の頻度・予測因子・臨床的アウトカムに与える影響を評価した(n=386)。
結論
43.8%の患者が血行動態安定に分類された。急性冠動脈閉塞は安定患者の19.5%、不安定患者の24.0%に認められた。閉塞の有無は初期の胸痛・ショック適応リズムによって予測され、血行動態安定性は予測因子ではなかった。急性冠動脈閉塞は心血管死亡のリスクと関連したが(調整ハザード比 2.74)、全死亡リスクとは関連しなかった(0.72)。また、血行動態不安定性は致死的アウトカムの予測因子ではなかった。
評価
ST上昇のない心停止後患者の5人に1人で急性冠動脈閉塞が認められた。ただし、血行動態不安定性は閉塞の存在を予測せず、心停止前の胸痛、ショック適応の有無が予測因子であった。