急性期脳梗塞へのtenecteplase、中国RCTも非劣性示す:TRACE-2試験
Tenecteplase versus alteplase in acute ischaemic cerebrovascular events (TRACE-2): a phase 3, multicentre, open-label, randomised controlled, non-inferiority trial
背景
急性期脳梗塞患者に対する血栓溶解薬としては、アルテプラーゼの他に、諸外国ではtenecteplaseが利用可能であり、EXTEND-IA TNK試験やAcT試験など、両者を比較するランダム化臨床試験が実施されてきた。
中国Capital Medical UniversityのWangらは、同国53施設の血管内治療の適応とならない急性期脳梗塞患者を、tenecteplase 0.25 mg/kgまたはアルテプラーゼ0.9 mg/kgへと割り付け、90日良好アウトカム(modified Rankin Scaleが0-1)率を比較する多施設ランダム化非劣性試験TRACE-2を実施した(n=1,430)。
結論
一次アウトカム率はtenecteplase群で62%、アルテプラーゼ群で58%であり(リスク比 1.07)、リスク比の信頼区間下限は非劣性マージンを上回ったことから、tenecteplaseの非劣性が示された。36時間以内の聴講生頭蓋内出血は、tenecteplase群の2%、アルテプラーゼ群の2%で認められた(1.18)。90日死亡率はそれぞれ7%、5%であった(1.31)。
評価
直近ではカナダ発のAcT試験がtenecteplaseの有効性・安全性を確認していたが(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(22)01054-6)、中国TRACE-2試験もこれに続いた。日本でもT-FLAVOR試験が進行中である(jRCTs051210055)。