AF患者の脳卒中リスク予測にCHA2DS2-VAScの「デルタ」指標を提唱
Relationship of Aging and Incident Comorbidities to Stroke Risk in Patients With Atrial Fibrillation
背景
心房細動(AF)患者の虚血性脳卒中リスクを評価するCHA2DS2-VAScスコアはベースライン値に基づくが、患者の脳卒中リスクはフォロー中に変わる。台湾Taipei Veterans General HospitalのChenらは、ベースラインとフォローアップのスコア変化「デルタCHA2DS2-VAScスコア(デルタCHAD)」を定義し、抗血小板薬・経口抗凝固薬非服用で、年齢・性別以外にはCHA2DS2-VAScスコア関連併存疾患を有しないAF患者を対象として、虚血性脳卒中の予測におけるその有用性を検討した(n=31,039)。
結論
平均デルタCHADは1.02であり、0だった患者は40.8%のみだった。C指数・net再分類指数による評価では、デルタCHADは、ベースライン・フォローアップCHA2DS2-VAScスコアいずれよりも有用な予測指標であった。
評価
CHA2DS2-VAScスコアが静的ではなく、虚血性脳卒中発症前に多数のAF患者で(加齢や併存症発生のため)リスク因子が1以上増えていた、という興味深い観察研究結果である。差を取るだけで簡明であり、広く確認されれば汎用指標となりえる。