AF患者の脳卒中リスク予測にCHA2DS2-VAScの「デルタ」指標を提唱
Relationship of Aging and Incident Comorbidities to Stroke Risk in Patients With Atrial Fibrillation

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
Journal of the American College of Cardiology
年月
January 2018
71
開始ページ
122

背景

心房細動(AF)患者の虚血性脳卒中リスクを評価するCHA2DS2-VAScスコアはベースライン値に基づくが、患者の脳卒中リスクはフォロー中に変わる。台湾Taipei Veterans General HospitalのChenらは、ベースラインとフォローアップのスコア変化「デルタCHA2DS2-VAScスコア(デルタCHAD)」を定義し、抗血小板薬・経口抗凝固薬非服用で、年齢・性別以外にはCHA2DS2-VAScスコア関連併存疾患を有しないAF患者を対象として、虚血性脳卒中の予測におけるその有用性を検討した(n=31,039)。

結論

平均デルタCHADは1.02であり、0だった患者は40.8%のみだった。C指数・net再分類指数による評価では、デルタCHADは、ベースライン・フォローアップCHA2DS2-VAScスコアいずれよりも有用な予測指標であった。

評価

CHA2DS2-VAScスコアが静的ではなく、虚血性脳卒中発症前に多数のAF患者で(加齢や併存症発生のため)リスク因子が1以上増えていた、という興味深い観察研究結果である。差を取るだけで簡明であり、広く確認されれば汎用指標となりえる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)