新たなエピジェネティック血液検査で前立腺がんPSA検査の精度を改善する
Circulating Chromosome Conformation Signatures Significantly Enhance PSA Positive Predicting Value and Overall Accuracy for Prostate Cancer Detection

カテゴリー
がん
ジャーナル名
Cancers
年月
January 2023
15
開始ページ
821

背景

前立腺特異抗原(PSA)検査は前立腺がんの発見プロセスの重要な一部であるが、精度は十分でなく、不要な前立腺針生検を生み出すという問題がある。
イギリスUniversity of East AngliaのPchejetskiらは、chromosome conformation分析に基づくエピジェネティックアッセイEpiSwitchをPSA検査と組み合わせることで、診断精度の向上をもたらしうるか、PROSTAGRAM screening pilot study参加者の全血サンプル(n=109)とImperial College NHS Trustの前立腺がん患者・非がん対照者(n=38)において検討した。

結論

PSA(3 ng/mL超)単独の場合、陽性適中率0.14、陰性適中率0.93であり、EpiSwitch単独の場合、陽性適中率0.91、陰性適中率0.32であった。両者を組み合わせると、陽性適中率は0.81に上昇し、陰性適中率は0.78に低下した。Prostate Screening EpiSwitchカットオフ値を用いない連続変数としてのPSA検査と、EpiSwitchを組み合わせた新たな層別化モデルProstate Screening EpiSwitch(PSE)は、陽性適中率0.92、陰性適中率0.94となった。

評価

従来のPSA検査と新しいエピジェネティック検査を組み合わせ、大きな精度向上をもたらした。今後、検診集団を対象としたより大規模な前向検証が不可欠となるが、前立腺がん診断改善の第一歩となるか、注目である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)