新たなエピジェネティック血液検査で前立腺がんPSA検査の精度を改善する
Circulating Chromosome Conformation Signatures Significantly Enhance PSA Positive Predicting Value and Overall Accuracy for Prostate Cancer Detection
背景
前立腺特異抗原(PSA)検査は前立腺がんの発見プロセスの重要な一部であるが、精度は十分でなく、不要な前立腺針生検を生み出すという問題がある。
イギリスUniversity of East AngliaのPchejetskiらは、chromosome conformation分析に基づくエピジェネティックアッセイEpiSwitchをPSA検査と組み合わせることで、診断精度の向上をもたらしうるか、PROSTAGRAM screening pilot study参加者の全血サンプル(n=109)とImperial College NHS Trustの前立腺がん患者・非がん対照者(n=38)において検討した。
結論
PSA(3 ng/mL超)単独の場合、陽性適中率0.14、陰性適中率0.93であり、EpiSwitch単独の場合、陽性適中率0.91、陰性適中率0.32であった。両者を組み合わせると、陽性適中率は0.81に上昇し、陰性適中率は0.78に低下した。Prostate Screening EpiSwitchカットオフ値を用いない連続変数としてのPSA検査と、EpiSwitchを組み合わせた新たな層別化モデルProstate Screening EpiSwitch(PSE)は、陽性適中率0.92、陰性適中率0.94となった。
評価
従来のPSA検査と新しいエピジェネティック検査を組み合わせ、大きな精度向上をもたらした。今後、検診集団を対象としたより大規模な前向検証が不可欠となるが、前立腺がん診断改善の第一歩となるか、注目である。