より広範囲な脳梗塞への血管内治療、SELECT2試験でも効果示す
Trial of Endovascular Thrombectomy for Large Ischemic Strokes
背景
日本のRESCUE-Japan LIMIT試験は、従来血管内治療の適応とならなかったASPECTSが3-5の、虚血性変化がより広範囲の脳主幹動脈閉塞患者でも、血管内治療の有効性が期待できることを示した(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2118191)。
アメリカUniversity Hospitals Cleveland Medical CenterのSarrajらは、発症24時間以内でASPECTSが3-5またはコア体積が50 mL以上の内頚動脈・中大脳動脈M1部梗塞患者を対象に、血管内治療+内科的治療または内科的治療のみを割り付け、有効性・安全性を検証する国際共同ランダム化比較試験SELECT2を実施した。
結論
血管内治療群での有効性が認められたため、中間解析後に試験は早期終了した(n=352)。modified Rankin Scale分布は、一般化オッズ比1.51で血管内治療群で良好となった。機能的自立率は血管内治療群の20%、内科的治療群の7%で達成された(相対リスク 2.97)。死亡率は両群同等であった。血管内治療群では、動脈穿刺部位の合併症が5名、解離が10名、脳血管穿孔が7名、一過性血管攣縮が11名に発生した。
評価
中国ANGEL-ASPECT試験のポジティブ結果と同時にNEJM誌に公表された(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2213379)。先行したRESCUE-Japan LIMIT試験とともに、ガイドラインを書き換えるエビデンスとなる。ただし、RESCUE-Japan LIMIT試験の二次解析は、ASPECTS=3の患者には効果が期待できないとしており(https://doi.org/10.1001/jamaneurol.2022.3285)、有効性の閾値については議論が必要だろう。


