直接後向大規模比較でSGLT2iのDPP-4iへの優位を示す:BWH分析
Comparing Effectiveness and Safety of SGLT2 Inhibitors vs DPP-4 Inhibitors in Patients With Type 2 Diabetes and Varying Baseline HbA1c Levels
背景
2型糖尿病(T2D)患者でのSGLT2阻害薬(SGLT2i)とDPP-4阻害薬(DPP-4i)の有効性・安全性の比較は重要な問題である。
アメリカBrigham and Women’s Hospitalの D’Andreaらは、両薬服用者87,274名のコホートデータの傾向スコアマッチング解析を行った(平均フォローアップ8ヵ月間)。一次有効性アウトカムは心筋梗塞・脳卒中・全原因死亡(MACE)および心不全原因入院(HHF)の複合、安全性アウトカムは循環血液量減少・骨折・転倒・生殖器感染症・糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)・急性腎障害(AKI)・下肢切断の発生である。
結論
SGLT2iはDPP-4iと比して一次有効性アウトカムで優れ(MACE発生のHR 0.85、HHF発生の HR 0.46)、AKIリスクも低かったが、生殖器感染症・DKAリスクを増した。HbA1c値に治療効果差は認められなかったが、SGLT2阻害薬使用HbA1c 値7.5〜9%の患者は、生殖器感染症リスクが高かった(HR 3.10)。
評価
両者の間接比較にはすでにメタ解析があるが(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27155214/)、直接前向比較はなく、このBWH研究は後向分析ではあるが、大規模データとして貴重である。SGLT2iに関する主流見解を裏書きする結果である。