2cm以下のIA期肺がんは縮小切除でよい:CALGB 140503試験でも
Lobar or Sublobar Resection for Peripheral Stage IA Non-Small-Cell Lung Cancer
背景
90年代に発表されたLCSG821試験以降、肺がんに対する標準術式は肺葉切除であったが、検診や画像検査の改善に伴いサイズの小さい非小細胞肺癌(NSCLC)の発見が増加するなか、昨年発表された日本のJCOG0802試験が、2cm以下のIA期NSCLCにおいて区域切除が肺葉切除に劣らないことを示した(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(21)02333-3)。
アメリカNew York-Presbyterian HospitalのAltorkiらによるCALGB 140503試験は、腫瘍径2 cm以下で臨床病期T1aN0のNSCLC患者を術中にリンパ節陰性と確認された後、縮小切除または肺葉切除へと割り付ける第III相ランダム化非劣性試験であった(n=697)。
結論
中央値7年のフォローアップ後、縮小切除は肺葉切除に非劣性であった(無病生存エンドポイントのハザード比 1.01)。また、全生存期間については肺葉切除に同等であった(死亡ハザード比 0.95)。5年無病生存率は縮小切除群で63.6%、肺葉切除群で64.1%であり、5年生存率は各群80.3%、78.9%であった。局所領域再発・遠隔再発にも大きな群間差は認めなかった。また、術後6ヵ月時点でのpFEV1%中央値は、縮小切除群で2%良好であった。
評価
縮小切除(区域切除と部分切除)が肺葉切除に劣らないことを実証した。区域切除群での生存率向上を示したJCOG0802試験に続いて、ガイドラインの変更につながるエビデンスで、早期肺がん患者では、より呼吸機能を温存した治療が可能になる。