低悪性度グリオーマでは広範囲切除が生存期間延長と関連
Interactive Effects of Molecular, Therapeutic, and Patient Factors on Outcome of Diffuse Low-Grade Glioma
背景
星細胞腫・乏突起膠腫のサブタイプからなる低悪性度神経膠腫(LGG)では、より広範囲の切除を行うべきか、既存の結果は一貫していない。
アメリカUniversity of California, San FranciscoのHervey-Jumperらは、20年間にわたるIDH変異型グレード2神経膠腫患者の後向コホート(n=392)において、切除範囲体積の拡大が全生存期間(OS)・無増悪生存期間(PFS)に与える影響を再帰分割分析により解析し、OSについての結果をさらに2つの外部コホート(n=365)で検証し、統合コホート(n=757)において傾向スコア解析を行った。
結論
再帰分割分析では3つのリスクグループが確認された。OS中央値が最も短かったのは、術後腫瘍体積が4.6 mL超、および術前体積が43.1 mL超で術後4.6 mL以下の星細胞腫患者であった。中間リスクグループは、術前体積43.1 mL以下かつ術後4.6 mL以下で、化学療法を受けた星細胞腫患者、さらに術前体積43.1 mL超の乏突起膠腫患者であった。OSが最も長かったのは術前体積43.1 mL以下、術後4.6 mL以下で、化学療法を受けなかった星細胞腫患者、術前体積43.1 mL以下、術後4.6 mL以下の乏突起膠腫患者であった。傾向スコア解析において、75%以上の切除は生存アウトカムを改善した。
評価
これまでの研究は切除範囲拡大の必要性を疑問視してきたが、長期のフォローアップ結果を有するこのコホートは、広範囲切除が生存アウトカムを改善する可能性を示した。