低悪性度グリオーマでは広範囲切除が生存期間延長と関連
Interactive Effects of Molecular, Therapeutic, and Patient Factors on Outcome of Diffuse Low-Grade Glioma

カテゴリー
がん
ジャーナル名
Journal of Clinical Oncology
年月
January 2023
Online first
開始ページ
Online first

背景

星細胞腫・乏突起膠腫のサブタイプからなる低悪性度神経膠腫(LGG)では、より広範囲の切除を行うべきか、既存の結果は一貫していない。
アメリカUniversity of California, San FranciscoのHervey-Jumperらは、20年間にわたるIDH変異型グレード2神経膠腫患者の後向コホート(n=392)において、切除範囲体積の拡大が全生存期間(OS)・無増悪生存期間(PFS)に与える影響を再帰分割分析により解析し、OSについての結果をさらに2つの外部コホート(n=365)で検証し、統合コホート(n=757)において傾向スコア解析を行った。

結論

再帰分割分析では3つのリスクグループが確認された。OS中央値が最も短かったのは、術後腫瘍体積が4.6 mL超、および術前体積が43.1 mL超で術後4.6 mL以下の星細胞腫患者であった。中間リスクグループは、術前体積43.1 mL以下かつ術後4.6 mL以下で、化学療法を受けた星細胞腫患者、さらに術前体積43.1 mL超の乏突起膠腫患者であった。OSが最も長かったのは術前体積43.1 mL以下、術後4.6 mL以下で、化学療法を受けなかった星細胞腫患者、術前体積43.1 mL以下、術後4.6 mL以下の乏突起膠腫患者であった。傾向スコア解析において、75%以上の切除は生存アウトカムを改善した。

評価

これまでの研究は切除範囲拡大の必要性を疑問視してきたが、長期のフォローアップ結果を有するこのコホートは、広範囲切除が生存アウトカムを改善する可能性を示した。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)