重症患者での高用量タンパク質はベネフィットなし:EFFORT Protein試験
The effect of higher protein dosing in critically ill patients with high nutritional risk (EFFORT Protein): an international, multicentre, pragmatic, registry-based randomised trial
背景
重症患者では侵襲に伴い、たんぱく質が喪失する。これを補うため、一部のガイドラインは1日当たり1.2 g/kgのたんぱく質投与を推奨しているが、エビデンスは十分ではない。
カナダQueen's UniversityのHeylandらは、世界16ヵ国85の集中治療室で人工呼吸器を装着する栄養的リスクの高い成人患者を対象に、高用量(2.2 g/kg以上)または通常用量(1.2 g/kg以下)のたんぱく質投与(入室96時間以内に開始し、28日目まで)へと割り付け、生存退院・死亡率などを比較する医師主導ランダム化比較試験EFFORT Proteinを実施した(n=1,329)。
結論
ランダム化後60日目までの累積生存退院率は、高用量群46.1%、通常用量群50.2%であった(ハザード比 0.91)。60日死亡率は高用量群34.6%、通常用量群32.1%であった(ハザード比 1.08)。また、サブグループ解析によれば、ベースラインで急性腎障害の患者、臓器不全スコアが高い患者では、高用量投与は有害であった。
評価
1日あたり2.2 g/kgを超える高用量のたんぱく質投与は、全体として患者のアウトカムに影響を与えなかった。特にAKI患者・臓器不全患者では、高用量たんぱく質は代謝負荷が重い可能性がある。