心不全患者でのACEi・ARBからARNIへのスイッチは血管性浮腫リスク:FDA
Comparative Risk of Angioedema With Sacubitril-Valsartan vs Renin-Angiotensin-Aldosterone Inhibitors
背景
心不全患者に対するサクビトリル-バルサルタン(SV)使用が血管性浮腫リスクを増すという報告がある。
アメリカFDAのEworukeらは、同センターSentinel systemデータに基づき、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEi)・アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)新規使用者とSV新規使用者の血管性浮腫リスクを比較する傾向スコアマッチコホート研究を実施した(n=35,702〜69,639)。
結論
ACEiと比較して、SV new(HR 0.18)およびACEi-SV(HR 0.31)は血管性浮腫リスクが低かった。一方、SV new(HR 0.59) またはARB-SV(HR 0.85) をARB newと比較すると、血管浮腫リスクには差がなかった。SV newと比較して、ACEi-SV(HR 1.62)は血管性浮腫リスクが高い傾向にあり、ACEiからSVへの切り替えが14日以内であれば、その傾向は強まった(HR 1.98)。同様に、ARB-SV(HR 2.03)はSV newと比較してリスクが上昇し、ARBからSVへの切り替えが14日以内において、その傾向は強まった(HR 2.45)。
評価
FDAの結論は、「SVがACEi・ARBより血管性浮腫リスクが高い、ということはない。ただし、14日以内にACEi・ARBから切り替えたSV使用者は、SV新規使用者より血管性浮腫リスクが高い」というものである。ARNIを使うなら最初から、という戦略が支持される。