難治性心停止に対するECPRは通常の二次救命処置と差なし:INCEPTION試験
Early Extracorporeal CPR for Refractory Out-of-Hospital Cardiac Arrest
背景
体外循環式心肺蘇生法(ECPR)は心停止患者に対する最も先進的な治療法であり、近年、院外心停止(OHCA)患者を対象とした複数のランダム化比較試験が行われているが、有効性についての明確な結論は引き出されていない。
オランダMaastricht UniversityのSuvereinらは、バイスタンダーCPRを受け、CPR開始後15分以内に自己心拍再開がみられなかった、初期リズムが心室不整脈の成人OHCA患者を、ECPRまたは従来の二次救命処置(ACLS)へと割り付け、機能的良好アウトカム(CPC 1-2)率を比較する多施設共同ランダム化比較試験INCEPTIONを実施した(n=160)。
結論
ランダム化後に選択基準を満たさないことが明らかになった26名が除外された。30日時点での機能的良好生存率はECPR群で20%、ACLS群で16%と有意差はなかった(オッズ比 1.4)。重篤有害事象の発生は両群とも同程度であった。
評価
小規模な第2相ARREST試験では、ECPRの優越性が示された一方(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)32338-2)、BelohlavekらによるチェコのRCTは、点推定ではECPRが9.5%優ったものの、有意差を示していなかった(https://doi.org/10.1001/jama.2022.1025)。本試験でもECPRとACLSの差は認められなかったものの、やはりECPRが有利な傾向を示した。強い統計的検出力を持ったRCTが求められている。