敗血症性低血圧、輸液が先か昇圧剤が先か:CLOVERS試験
Early Restrictive or Liberal Fluid Management for Sepsis-Induced Hypotension
背景
敗血症患者の初期蘇生では静脈内輸液と昇圧剤が頻用されるが、どちらを優先すべきかは明らかではない。
National Heart, Lung, and Blood Institute Prevention and Early Treatment of Acute Lung Injury Clinical Trials Networkは、アメリカ60施設で、1〜3 Lの輸液による初期治療に抵抗性の敗血症性低血圧患者を、昇圧剤を優先し制限的に輸液を行う制限輸液群、または昇圧剤の前に大量輸液を優先するリベラル輸液群へと割り付け、全原因死亡率を比較する多施設ランダム化比較試験CLOVERSを実施した(n=1,563)。
結論
制限輸液群では輸液量が少なく(中央値の差−2134 ml)、より早期、より多量、より長期間の昇圧剤使用が行われた。90日以内の帰宅前の全原因死亡は、制限輸液群で14.0%、リベラル輸液群で14.9%と差はなかった。重篤有害事象の数も同程度であった。
評価
昇圧剤を優先する制限輸液群では狙い通り輸液量が減少したものの、死亡率に群間差は認められなかった。CLASSIC試験(https://www.doi.org/10.1056/NEJMoa2202707)とも一致する結果で、現在までのところ、輸液を優先することも、早期から昇圧剤を用いることも合理的な選択肢とみなされる。