「お酒はがんの原因です」:アルコールとがん・全米意識調査
Do Beliefs about Alcohol and Cancer Risk Vary by Alcoholic Beverage Type and Heart Disease Risk Beliefs?
背景
アルコールの摂取は、複数のがんについて確立された発症因子であるが、このことは社会一般にどの程度認知されているのか。
アメリカNational Cancer InstituteのSeidenbergらは、全米の成人を対象とした全国サンプル調査、Health Information National Trends Survey(HINTS)5のサイクル4(2020年)において、アルコールとがんの関連についての認識を調査した。
結論
アルコールとがんの関連についての認識は、蒸留酒で最も高く(31.2%)、ビール(24.9%)、ワイン(20.3%)が続いた。10.3%はワインが、がんリスクを低下させると考えていた(ビールや蒸留酒では2%前後)。また、半数を超える成人が、アルコール消費とがんの関連についてよく知らないと回答した。アルコールによる心臓疾患リスクを認識していた成人では、アルコールとがんについても正しい認識を有する割合が高かった(52.4%〜59.4%)。
評価
2003年のHINTS調査によれば、大多数のアメリカ人が喫煙のがんリスクを認識していたが、対照的にアルコールのがんリスクに関する認識は非常に低いことが明らかにされた。「ワインはむしろ健康に良い」などの疑わしい結果が広まっている点も含めて、啓発活動の出発点とすべきデータである。