大腸がんでのKRAS G12C阻害薬が有望性示す:第1-2相KRYSTAL-1試験
Adagrasib with or without Cetuximab in Colorectal Cancer with Mutated KRAS G12C
背景
KRAS G12Cの標的化は、これまでundruggableとされてきたKRAS変異がんで有望視されており、経口KRAS G12C阻害剤adagrasibは大腸がんを含む複数のがんに対して臨床活性を示している。
アメリカMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのYaegerらは、KRAS G12C変異を有する切除不能大腸がん患者を、adagrasib単剤(n=44)またはadagrasib+セツキシマブ併用(n=32)へと割り付け、客観的奏功および安全性を評価する第1-2相臨床試験KRYSTAL-1を実施した。
結論
奏効率は、adagrasib単剤群で19%、adagrasib・セツキシマブ併用群では46%であった。奏効持続期間(中央値)は単剤群4.3ヵ月、併用群7.6ヵ月で、無増悪生存期間(中央値)はそれぞれ5.6ヵ月、6.9ヵ月であった。グレート3・4の治療関連有害事象は単剤群の34%、併用群の16%で発生した。
評価
CodeBreaK 100試験の膵がんコホートの結果とともに、NEJM誌に掲載された(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2208470)。Adagrasibは、多重治療歴のあるKRAS変異大腸がん患者において有望な活性を示し、特にセツキシマブとの併用では効果が大きかった。この結果に基づき、FDAのBreakthrough Therapy指定を受けており、第3相KRYSTAL-10試験が開始されている。