大腸がんでのKRAS G12C阻害薬が有望性示す:第1-2相KRYSTAL-1試験
Adagrasib with or without Cetuximab in Colorectal Cancer with Mutated KRAS G12C

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
January 2023
388
開始ページ
44

背景

KRAS G12Cの標的化は、これまでundruggableとされてきたKRAS変異がんで有望視されており、経口KRAS G12C阻害剤adagrasibは大腸がんを含む複数のがんに対して臨床活性を示している。
アメリカMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのYaegerらは、KRAS G12C変異を有する切除不能大腸がん患者を、adagrasib単剤(n=44)またはadagrasib+セツキシマブ併用(n=32)へと割り付け、客観的奏功および安全性を評価する第1-2相臨床試験KRYSTAL-1を実施した。

結論

奏効率は、adagrasib単剤群で19%、adagrasib・セツキシマブ併用群では46%であった。奏効持続期間(中央値)は単剤群4.3ヵ月、併用群7.6ヵ月で、無増悪生存期間(中央値)はそれぞれ5.6ヵ月、6.9ヵ月であった。グレート3・4の治療関連有害事象は単剤群の34%、併用群の16%で発生した。

評価

CodeBreaK 100試験の膵がんコホートの結果とともに、NEJM誌に掲載された(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2208470)。Adagrasibは、多重治療歴のあるKRAS変異大腸がん患者において有望な活性を示し、特にセツキシマブとの併用では効果が大きかった。この結果に基づき、FDAのBreakthrough Therapy指定を受けており、第3相KRYSTAL-10試験が開始されている。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)