ESR1陽性となった進行乳がん、フルベストラント+パルボシクリブへの切替でPFS倍増:PADA-1試験
Switch to fulvestrant and palbociclib versus no switch in advanced breast cancer with rising ESR1 mutation during aromatase inhibitor and palbociclib therapy (PADA-1): a randomised, open-label, multicentre, phase 3 trial
背景
ESR1変異は、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんでのアロマターゼ阻害薬治療への耐性獲得のドライバーとして知られているが、その臨床的価値は不明である。
フランスUniversite Versailles Saint-QuentinのBidardらは、同国83施設のER陽性HER2陰性の進行乳がん患者(n=1,017)を登録し、初回アロマターゼ阻害薬(AI)+パルボシクリブ治療中に血中循環腫瘍DNAにおけるESR1変異上昇が認められた未進行患者を、フルベストラント+パルボシクリブへの切替またはAI+パルボシクリブの継続へと割り付ける第3相ランダム化比較試験PADA-1を実施した。
結論
27%(279名)でESR1変異上昇が認められ、17%にあたる172名がランダム化を受けた。無増悪生存期間(中央値)は、切替群で11.9ヵ月、AI継続群で5.7ヵ月であった(層別ハザード比 0.61)。
評価
リキッドバイオプシーでのESR1レベルに応じたフルベストラント+パルボシクリブへの変更は、PFSを有意に改善した。ESR1が有効な標的となることを示しただけでなく、耐性関連変異のモニタリング戦略の可能性を拓いたことも意義深い。