ブラジル先住民の心血管ヘルスへの都市化のインパクト：系統レビューとメタアナリシス
The impact of urbanisation on the cardiometabolic health of Indigenous Brazilian peoples: a systematic review and meta-analysis, and data from the Brazilian Health registry
背景
近年の都市化に伴い、ブラジル先住民に心血管疾患（CVD）発生が急増している。
カナダ University of TorontoのKramerらは、1950〜2022年のブラジル先住民の肥満や代謝に関する46研究（n=20,574：33部族）をBrazilian Health registry登録の心血管死亡データと照合し、開発・都市化とブラジル先住民族の肥満・CVD・CVD原因死亡の関連を検討するシステマティックレビュー・メタ解析を行った。
結論
都市部在住先住民で肥満（中西部23%, 南部23%）・高血圧（南部30%）の増加があったが、そうでない地域での発生は低かった（北部：肥満11%, 高血圧1%）。肥満有病率はアマゾン熱帯雨林地域に住む部族と比べ、都市化進行地域に住む部族で3.5倍高かった。都市部と比較して、伝統的生活習慣を営む人口では、加齢に伴う血圧上昇はみられなかった。1997〜2019年の間、CVD原因死亡率は北部と比べて最も都市化された南東部で2.5倍高かったが、過去20年間で北部北東部在住の先住民族でもCVD原因死亡率は、2.7倍と急上昇している。
評価
ブラジル先住民は800万人、部族数は1,000超とされている。単なる都市化ではなく、森林破壊・違法金採掘・森林伐が重合した環境激変が、先住民の生活習慣病を激増させている。
