S状結腸鏡による大腸がん検診の効果は長期的
15-Year Benefits of Sigmoidoscopy Screening on Colorectal Cancer Incidence and Mortality: A Pooled Analysis of Randomized Trials
背景
大腸がん検診として、日本では便潜血検査が主流であるが、S状結腸内視鏡による検診もランダム化比較試験において検証されてきた。
ノルウェーOslo University HospitalのJuulらは、ノルウェー・アメリカ・イギリス・イタリアで行われた4件の大規模ランダム化比較試験の統合解析(n=274,952)を行い、S状結腸鏡検査による検診後15年間の大腸がん発症率・死亡率への効果を評価した。
結論
検診受診率は58〜84%であった。通常ケアと比較した15年累積大腸がん発症数は、S状結腸鏡群100名あたり0.51件減少、発症率比は0.79であった。また、大腸がん死亡数は0.13件減少、死亡率比は0.80であった。検診のベネフィットは男性でより大きく、年齢別では検診による有意な差はみられなかった。
評価
S状結腸鏡による検診は長期にわたって大腸がん発症・死亡のリスクを低下させた。全大腸内視鏡については最近、NordICC試験によって初めてのRCTエビデンスがもたらされている(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2208375)。