頭部外傷患者での酸素投与とアウトカム
High arterial oxygen levels and supplemental oxygen administration in traumatic brain injury: insights from CENTER-TBI and OzENTER-TBI
背景
外傷性脳損傷(TBI)患者での動脈血酸素高レベルは、有害性が示唆されている。
イタリアUniversity of Milano - BicoccaのRezoagliらは、ヨーロッパで行われたCENTER-TBI study(n=1,084)およびOzENTER-TBI Study(n=159)、2件の前向コホート研究の二次解析から、ICUに入室し人工呼吸管理を受けたTBI患者における動脈血酸素分圧(PaO2)・吸入酸素濃度(FiO2)とアウトカムとの関連を調査した。
結論
CENTER-TBIコホートの1,084人(11,577回測定)のうち、55%がアウトカム不良(Extended Glasgow Outcome Scoreが4以下)で、26%は6ヵ月フォローアップ時に死亡していた。ICU入室から7日間の高いPaO2値、高いFiO2値は高い死亡率と独立に関連した。この傾向はOzENTER-TBIでも高PaO2が死亡率と関連した。高いPaO2への曝露は、GFAPマーカーによる重症度に関わらず、死亡率の予測因子であった。
評価
この大規模な前向リアルワールドデータでは、TBI重症患者のPaO2・FiO2レベルは施設によって大きな幅があり、高いPaO2・FiO2は死亡率と関連していた。TBIを対象としたランダム化比較試験はまだないものの、高酸素を避ける十分な理由となる。