TIL療法が進行・難治メラノーマでイピリムマブを上回る:M14TIL試験
Tumor-Infiltrating Lymphocyte Therapy or Ipilimumab in Advanced Melanoma
背景
免疫チェックポイント阻害薬や標的療法は悪性黒色腫の治療を前進させたが、依然患者の大半は最終的に再発に至る。
オランダNetherlands Cancer InstituteのRohaanらは、切除不能なIIIC期・IV期悪性黒色腫患者を、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法、またはイピリムマブ(試験開始時のセカンドライン標準治療)へと割り付ける第3相ランダム化比較試験M14TILを実施した(n=168)。
結論
ITT集団における無増悪生存期間(中央値)は、TIL群で7.2ヵ月、イピリムマブ群で3.1ヵ月であった(ハザード比 0.50)。客観的奏効率はそれぞれ49%、21%であった。全生存期間(中央値)はTIL群25.8ヵ月、イピリムマブ群18.9ヵ月で有意差はなかった。グレード3以上の有害事象は、TIL群の100%、イピリムマブ群の57%で発生した。TIL群の有害事象は、主として化学療法に関連する骨髄毒性であった。
評価
第1-2相試験の結果から、有望とみられてきたTIL療法がメラノーマに対するT細胞療法としては、初の第3相有効性を示した。オランダでは、この結果に基づきTILの標準治療化が決定している。副作用の軽減など課題はあるものの、治療選択肢拡大への大きな一歩である。