COVID-19 mRNAワクチン接種後、心筋炎の死亡リスクはウイルス性心筋炎の1/10
Prognosis of Myocarditis Developing After mRNA COVID-19 Vaccination Compared With Viral Myocarditis
背景
COVID-19 mRNAワクチンには、心筋炎有害事象の報告がある。
中国香港大学のLaiらは、同地域EHRデータベースと人口ベースワクチン接種記録をリンクし、Pfizer-BioNTechmRNAワクチン接種後心筋炎と、ウイルス感染による心筋炎の180日間予後を比較する後向コホート研究を実施した(n=866)。
結論
追跡期間中、ワクチン接種後心筋炎患者104名中1名(1.0%)の死亡、ウイルス性心筋炎患者762名中84名(11.0%)の死亡が確認された(調整後HR 0.08)。ワクチン接種後心筋炎で拡張型心筋症1例・心不全2例が確認されたのに対し、ウイルス性心筋炎では各28例・93例であった。その他アウトカムに有意差は認められなかった。
評価
同有害事象はmRNAワクチン導入以後多様に報告されたが、CDCは今年9月にこの懸念によるワクチン接種回避は不要との見解を出している(https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/safety/myocarditis.html)。この香港データは歴史的対照に対してだが、ワクチン心筋炎の致死率が極めて低いことを示した。ただし、mRNAワクチン心筋炎の病態形成の詳細は不明である。