浸潤性小葉がんと浸潤性乳管がんはどのように異なる?
Clinicopathological Features and Outcomes Comparing Patients With Invasive Ductal and Lobular Breast Cancer
背景
浸潤性小葉がんは乳がん全体の5-10%を占め、浸潤性乳管がんに次ぐサブタイプであるが、その生物学・臨床的特徴は、浸潤性乳管がんに比べると十分理解されていない。
アメリカUPMC Hillman Cancer CenterのOesterreichらは、3ヵ所の大規模病院で1990〜2017年に治療を受けた浸潤性小葉がん(n=3,617)・浸潤性乳管がん(n=30,045)患者からなるGreat Lakes Breast Cancer Consortiumにおいて、両者の臨床像を比較した。
結論
浸潤性乳管がんと比較して、浸潤性小葉がんはより病期が進行し、リンパ節転移が多い状態で診断されていた。ER陽性浸潤性小葉がんはグレードが低い一方で、腫瘍サイズは大きく、1990年以降、診断時の浸潤性小葉がんサイズは増加傾向にあった。ER陽性浸潤性小葉がん患者では、ER陽性浸潤性乳管がんよりも乳房切除術が多く行われた(57% vs. 46%)。ER陽性浸潤性小葉がんは無病生存率・全生存率が有意に不良であったが、OncotypeDx Breast Recurrence Scoreで高リスクに分類される割合は浸潤性乳管がんの1/6であった。
評価
浸潤性小葉がんが、浸潤性乳管がんとは異なる臨床実体であることを改めて強調するデータである。浸潤性乳がんに準じた治療が行われることが多いが、理想的な治療オプションも異なる可能性がある。