免疫チェックポイント阻害薬での重大な心血管イベントは稀:米NCI
Major Adverse Cardiac Events With Immune Checkpoint Inhibitors: A Pooled Analysis of Trials Sponsored by the National Cancer Institute−Cancer Therapy Evaluation Program
背景
免疫チェックポイント阻害薬による治療では、さまざまな免疫関連有害事象(irAE)が発生することがあり、重大心有害イベント(MACE)は、稀ではあるが致死的な結果につながる。
アメリカNational Cancer InstituteのNaqashらは、NCIがスポンサーとなった臨床試験のデータベースCancer Therapy Evaluation Program(NCI CTEP)での後向解析を実施し、抗PD-1/PD-L1治療を受けた患者におけるMACE発生率および非心血管irAEとの関連を調査した(n=6,925)。
結論
免疫チェックポイント阻害薬に関連するMACEは0.6%(40名)で発生し、うち77.5%(31名)がグレード3以上であり、心筋炎が45%を占めた。また、65%は非心血管系irAEを伴っており、心筋炎患者では83%にのぼった。標的治療との組み合わせは、抗CTLA-4治療との組み合わせと比してMACE発生率が高く(2.1% vs. 0.9%)、抗PD-1/PD-L1ベースの併用治療は単剤療法よりも心筋炎発症率が高かった(0.36% vs. 0.15%)。心筋炎の18名のうち、4名が死亡し、いずれも筋炎を合併していた。
評価
免疫チェックポイント阻害薬治療でのMACEは1%未満と稀であったものの、発症した患者の2割で重大な結果につながった。タイムリーな介入を可能とするため、トロポニンによるモニタリングなども検討されている。