心原性ショックに対する即時ECMO戦略はアウトカム改善せず:ECMO-CS試験
Extracorporeal Membrane Oxygenation in the Therapy of Cardiogenic Shock: Results of the ECMO-CS Randomized Clinical Trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Circulation
年月
November 2022
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背景

VA-ECMOは心原性ショックに対して用いられることが増えているが、そのエビデンスは堅固ではない。
チェコNa Homolce HospitalのOstadalらは、急速に悪化しているか、重症の心原性ショック患者を、ただちにVA-ECMOを実施するグループと血行動態が悪化した場合にVA-ECMO実施を認めるグループへと割り付け、30日複合エンドポイント(死亡、循環停止、他の機械的循環補助)を比較するランダム化比較試験を実施した(n=122)。

結論

対照群の39%では下流でVA-ECMOが実施された。VA-ECMO複合エンドポイント発生率は、即時VA-ECMO群で63.8%、対照群では71.2%であり、有意な差はなかった(ハザード比 0.72)。各エンドポイント、敗血症・肺炎・脳卒中・下肢虚血・出血などにも有意差はなかった。

評価

早期からのVA-ECMOは、保存的戦略と比してアウトカムを改善しなかった。心原性ショックでのVA-ECMOについては、より大規模なEUROSHOCK試験(NCT03813134)とANCHOR試験(NCT04184635)が進行中であるほか、IABPやImpellaについても検証が進んでいる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)