ロルラチニブはCNS進行率を低下させる:CROWN試験の事後解析
Post Hoc Analysis of Lorlatinib Intracranial Efficacy and Safety in Patients With ALK-Positive Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer From the Phase III CROWN Study
背景
第三世代ALK阻害薬ロルラチニブは、ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対して有効性を示しているが、ALK陽性NSCLCの大半で発生する脳転移へはどうか?
オーストラリアPeter MacCallum Cancer CentreのSolomonらは、全身治療歴のない進行ALK陽性NSCLC患者(n=296)を対象として、ロルラチニブとクリゾチニブを比較した第3相多国籍ランダム化比較試験CROWNでのpost-hoc探索的解析を行い、ベースラインの脳転移の有無による有効性および中枢神経系(CNS)安全性を評価した。
結論
ロルラチニブによる12ヵ月無増悪生存率の改善は、脳転移のある患者でも(78% vs. 22%)、脳転移のない患者でも(78% vs. 45%)認められた。ロルラチニブは12ヵ月累積CNS進行率の低下とも関連した(7% vs. 72%, 1% vs. 18%)。ロルラチニブ群の35%でCNS有害事象が発生したが、多くはグレード1であり、患者報告QOLに意味のある差は認められなかった。CNS有害事象の多くは介入なし、または用量変更によって解消した。
評価
追加の解析により、脳転移の有無に関わらないロルラチニブの強力な効果を改めて確認した。同試験の結果により、日本でも未治療ALK肺がんの適応追加が承認されている。