肩関節脱臼の鎮静・鎮痛はどの方法が良い?:系統的レビュー・メタ解析
Comparative efficacy of sedation or analgesia methods for reduction of anterior shoulder dislocation: A systematic review and network meta-analysis

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Academic Emergency Medicine
年月
October 2022
29
開始ページ
1160

背景

肩関節脱臼の整復時の鎮静・鎮痛には複数のオプションが存在するが、いずれが優るのか。
日本Fukui Prefectural Hospital(福井県立病院)のHayashiらは、肩関節前方脱臼の整復における複数の鎮静・鎮痛を比較したランダム化比較試験を特定し、静脈内鎮静(IVS)・関節内注射(IAA)・末梢神経ブロック(PNB)の有効性・安全性を比較するシステマティックレビュー・ネットワークメタアナリシスを実施した。

結論

患者957名を対象としたRCT 16件が解析に含まれた。即時整復成功率および患者満足度には、ほとんど差がなかった。救急外来滞在時間は、IVSよりもIAAで短かった(平均差 107.88分)。疼痛スコアはPNBよりもIAAで低かった(標準化平均差 1.83)。IAA(平均差 5.3分)およびPNB(平均差 15.25分)は、整復に要する時間がIVSより長い可能性があった。整復試行回数、整復成功率に差はなかった。また、IAAとPNBで呼吸器有害事象はみられなかった。

評価

一次アウトカムである即時整復と患者満足度には、ほとんど差はみられなかった。著者らは、研究の信頼度は低く高品質の臨床試験が必要とされている、としている。ここでの結果は現時点での暫定指針となる。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)