肩関節脱臼の鎮静・鎮痛はどの方法が良い?:系統的レビュー・メタ解析
Comparative efficacy of sedation or analgesia methods for reduction of anterior shoulder dislocation: A systematic review and network meta-analysis
背景
肩関節脱臼の整復時の鎮静・鎮痛には複数のオプションが存在するが、いずれが優るのか。
日本Fukui Prefectural Hospital(福井県立病院)のHayashiらは、肩関節前方脱臼の整復における複数の鎮静・鎮痛を比較したランダム化比較試験を特定し、静脈内鎮静(IVS)・関節内注射(IAA)・末梢神経ブロック(PNB)の有効性・安全性を比較するシステマティックレビュー・ネットワークメタアナリシスを実施した。
結論
患者957名を対象としたRCT 16件が解析に含まれた。即時整復成功率および患者満足度には、ほとんど差がなかった。救急外来滞在時間は、IVSよりもIAAで短かった(平均差 107.88分)。疼痛スコアはPNBよりもIAAで低かった(標準化平均差 1.83)。IAA(平均差 5.3分)およびPNB(平均差 15.25分)は、整復に要する時間がIVSより長い可能性があった。整復試行回数、整復成功率に差はなかった。また、IAAとPNBで呼吸器有害事象はみられなかった。
評価
一次アウトカムである即時整復と患者満足度には、ほとんど差はみられなかった。著者らは、研究の信頼度は低く高品質の臨床試験が必要とされている、としている。ここでの結果は現時点での暫定指針となる。