ECMOの使用は退院後の精神疾患と関連か
Association of Extracorporeal Membrane Oxygenation With New Mental Health Diagnoses in Adult Survivors of Critical Illness
背景
体外式膜型人工肺(ECMO)は最も高度な生命維持介入であるが、この介入は患者のメンタルヘルスにどのような影響を与えるのか。
カナダUniversity of OttawaのFernandoらは、2010~2020年に同国オンタリオ州のICUに入室し、生存退院した成人患者の後向コホートにおいて、ECMO後の生存と退院後の精神疾患診断(気分障害・不安障害・心的外傷後ストレス障害・統合失調症・その他の精神病性障害・その他のメンタルヘルス障害・社会的問題)との関連を調査した(n=4,462)。
結論
ECMOサバイバーは642名、マッチングされたECMO非使用ICUサバイバーは3,820名であった。ECMOサバイバーにおける新たな精神疾患は、100人年あたり22.1件、ECMO非使用サバイバーでは14.5件であった。オーバーラップ傾向スコア重み付け原因別比例ハザードモデルでは、ECMOサバイバーは精神疾患診断のリスク上昇と関連していた(ハザード比 1.24)。薬物濫用や自傷行為についてのリスク差はなかった。
評価
ICUサバイバーでは、自死・自傷リスクが増加することを明らかにした著者ら(https://doi.org/10.1136/bmj.n973)による研究で、ECMOを受けた患者のメンタルヘルスリスクが、他のICUサバイバーよりも高くなる可能性を示唆した。サバイバーシップの充実のためにも、さらなる調査によりリスクを確定する必要がある。