臨床変数だけで無症状者の上行大動脈径を予測するモデル
Development of a Prediction Model for Ascending Aortic Diameter Among Asymptomatic Individuals

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
November 2022
328
開始ページ
1935

背景

無症状の上行大動脈疾患の同定は困難である。
アメリカMassachusetts General HospitalのEllinorらは、臨床変数から上行大動脈径を推定する臨床スコアを開発・検証した。2006〜2010年のUK BiobankコホートのMRIサブスタディデータを使用して30,018名からスコア導出を行い、6681名の内部検証を実施し、さら2つのコホートで外部検証した。

結論

開発されたスコアは、UKBiobank内部検証コホートでは大動脈径の分散の28.2%を、外部検証FHSコホートでは30.8%を、MGBコホートでは32.6%を説明した。
上行大動脈径4cm以上の個人の検出に関するAUC-ROCは、UKBiobaankで0.770、FHSで0.813、MGBで0.766だったが、モデルは外部検証で大動脈径を著しく過剰評価または過小評価した。スコア閾値を3.537とすると、上行大動脈径4cm以上の1名を確認するために、UKBiobankでは9.7名、FHSでは1.8名、MGBのコホートでは4.6名が画像診断を必要とする。閾値における感度は、UKBiobankで8.9%、FHSで11.3%、MGBコホートで18.8%であり、特異度は各98.1%・99.2%・96.2%であった。

評価

まったく臨床的な変数だけから大動脈疾患リスクスコアを構築する、という重要な試みである、高特異度を達成したが感度が低すぎ、直ぐには検診に使えない。著者らも、Further research is needed to optimize the prediction model and to determine whether its use is associated with improved outcomes.value、としている。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)