2台の除細動器を使うと難治性心室細動の生存率が2倍になる:DOSE VF試験
Defibrillation Strategies for Refractory Ventricular Fibrillation

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
November 2022
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開始ページ
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背景

電気ショックにもかかわらず、持続する難治性心室細動(VF)の予後はきわめて不良である。この難治性VFに対して、通常の1台の除細動器に加え、もう1台の除細動器を装着して、2組のパッドで連続的にショックを与える二重連続体外式除細動(DSED: Double Sequential External Defibrillation)という手法が提案されている。
カナダUniversity of TorontoのCheskesらは、同国6ヵ所の救急医療サービスにおいて、3回の標準的除細動後にも持続するVF/無脈性心室頻拍を有する院外心停止患者に対し、DSED、ベクトル変化(VC:パッドを胸部の前後に貼る)除細動、通常のパッド位置による標準的除細動のいずれかを実施するクラスターランダム化による臨床試験DOSE VFを実施した。

結論

405名が登録された後、新型コロナウイルスの流行により試験は中止された。標準的除細動と比較して、DSEDは生存退院率を改善した(30.4% vs. 13.3%, 相対リスク 2.21)。同様にVC除細動も生存退院率を改善した(21.7% vs. 13.3%, 1.71)。神経学的良好アウトカム率はDSEDでのみ有意に改善した。

評価

パイロット試験(https://doi.org/10.1016/j.resuscitation.2020.02.010)に続いて行われた本試験で、DSED戦略が難治性VFの生存率を大きく改善することを初めて実証した。コロナにより予定の半分で終了したという重要な制限はあるものの、ゲームチェンジャー的結果である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)