PSV補助による自発呼吸トライアルは有益か?:TIP-EX試験
Spontaneous-Breathing Trials with Pressure-Support Ventilation or a T-Piece

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
October 2022
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開始ページ
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背景

人工呼吸患者の自発呼吸トライアルでは、PSVモードやTピースで30分~2時間の観察を行うのが一般的だが、いずれの方法がより相応しいのか。
フランスCentre Hospitalier Universitaire(CHU)de PoitiersのThilleらは、抜管失敗のリスクが高い患者をPSV(8 cmH2O、PEEPなし)、またはTピースによる自発呼吸トライアルへと割り付ける多施設共同ランダム化比較試験TIP-EXを実施した(n=969)。

結論

28日目前の人工呼吸器不要日数(一次アウトカム)は、両群とも中央値27日であった。24時間以内の抜管率はPSV群で77.7%、Tピース群で72.2%であり、7日以内の抜管率はそれぞれ97.7%、94.4%であった。再挿管率はPSV群14.9%、Tピース群13.6%と差はなかった。心停止・呼吸停止による再挿管はPSV群で3名、Tピース群で6名であった。

評価

Tピースよりも呼吸仕事量の少ないPSVは、抜管を早める効果が期待されている。先行するRCTでは、PSVが抜管成功率・死亡率を改善することが示されていたが(http://doi.org/10.1001/jama.2019.7234)、本試験では、抜管率が改善されたものの一次アウトカム効果を示すことはできなかった。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)