ダパグリフロジンのHFpEF・AF患者への有益性はAFのタイプに関係しない:DELIVER
Atrial Fibrillation and Dapagliflozin Efficacy in Patients With Preserved or Mildly Reduced Ejection Fraction
背景
心房細動(AF)は心不全に多く合併し、予後を悪化させる。
イギリスUniversity of GlasgowのMcMurrayら(DELIVER)は、HFpEF患者6,261名を対象として、SGLT2 阻害薬ダパグリフロジンの効果とAFとの関連を検討するRCTを行った(対照:プラセボ)。患者はNYHA分類II~IV、LVEF>40%、構造的心疾患の証拠があり、NT-proBNP値上昇を認めた。一次アウトカムは、心血管死・HF 悪化の複合である。
結論
ベースラインで56.7%の患者にAFがあった。一次アウトカムに対するダパグリフロジンの有益性は、AFなしでHR0.89、発作性AFでHR 0.75、持続/永続AFでHR 0.79であり、AFタイプによらず一貫していた。
評価
同薬のHFpEF患者への有益性を示したDELIVER本試験(https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2022.07.021)のサブ解析である。AFのタイプによらず、心不全悪化防止に有効であることが示され、同薬がAFの発生自体を予防できるという、仮説の本格検証が重要になってきた。