血管内治療後の血圧目標は低すぎてはいけない:ENCHANTED2試験
Intensive blood pressure control after endovascular thrombectomy for acute ischaemic stroke (ENCHANTED2/MT): a multicentre, open-label, blinded-endpoint, randomised controlled trial
背景
急性脳梗塞後の患者では血圧上昇が一般的であり、高血圧のコントロールが推奨されているが、血管内治療後患者における至適な血圧目標は具体化されていない。
中国Naval Medical UniversityのYangらは、同国33ヵ所の三次施設において、主幹動脈閉塞に対する血管内治療が成功したのち、収縮期140 mmHg以上が10分持続した患者を、収縮期血圧120 mmHg未満を目標とし、72時間持続させる積極的血圧コントロール群、または140〜180 mmHgを目標とする対照群へと割り付け、90日時点での修正ランキンスケールを比較するランダム化比較試験ENCHANTED2を実施した。
結論
821名がランダム化された後、有効性・安全性についての懸念により試験は中止された。機能的不良アウトカムの確率は積極的コントロール群で、より高かった(共通オッズ比 1.37)。また、積極的コントロール群では、早期の神経症状増悪(1.53)、90日時点の重大障害(2.07)リスクも高かった。脳内出血に有意な差はなく、重篤有害事象、死亡率にも差はなかった。
評価
予想に反し、120 mmHg以下を目標とする積極的降圧はアウトカムの悪化をもたらした。血管内治療後の患者では、140 mmHgから180 mmHgでの管理が妥当と思われる。